テキスト安西軍第三十五鎮の最後の兵と将は、この地で命を散らした。そしてこの旗こそが、白頭将軍が待ち続けていた物に違いない。 砂嵐が城を噛み砕いたその日、安西軍は血肉を盾として掲げ、望安村の万民を守り抜いた。 そして百年後、鍛冶屋が崩れた壁の残骸から、この刀痕だらけの旗布を掘り出し、それを門前高く掲げた。 風にあおられた残旗がすすり泣くたびに、それは後の世の者たちが胸の奥深くに秘めた、安西軍への追悼の声となって響くのだった。