テキスト

いしころは一度きのこを口にして以来、その味を忘れられなくなってしまった。 舌はびりびりと痺れ、木の根元に咲く花のあいだから、次々と犬の頭がにょきにょき生えてくるように見える。鼻を近づけてよく嗅いでみると、その頭の一つひとつに、かすかに青草の香りがまとわりついていた。 いしころが駆け出すと、からだはふわりと宙に浮かび、まるでいつも追いかけている小鳥になったかのように、空のほうへと引き上げられていく。 いしころは犬の手をばたばたさせながら、近づいてくる空を不思議そうに見上げていた... それ以来、いしころはよく木の下でせっせときのこを探すようになった。 (毒)きのこの味を、いしころはもう知ってしまったのだ!