テキスト

隋末唐初、江湖には「微笑仏」を見た者は必ず窃盗に遭うという噂が流れていた。 この盗賊は銭妙手と名乗り、彼が盗もうと思った宝物は必ず手に入る。たとえ日月であろうとも例外ではなかったという。 そんな月や星さえも盗む腕前の怪盗・銭妙手だったが、ある日江湖の強者たちに追い詰められていた。突然、銭妙手が「摂星摘月」と叫ぶと、辺りが闇に包まれていった。 やがて闇が晴れると、驚くべき光景が広がっていた。銭妙手は姿を消し、強者たちの武器は遠くに並べられ、微笑む仏像の形に積み上げられていた。 以後、銭妙手の行方は謎に包まれ、龍王寨に隠居した噂もあれば、既に世を去ったとも言われる。しかし、「摂星摘月」の絶技だけは、今も江湖に語り継がれている。