テキスト

魚灯がゆらゆらと、人混みの中で、宙に揺れていた。尾がひと振り、またひと振り、まるで水の底を泳いでいるかのようだった。 子供は顔を上げ、見とれていた。 うっとりとした中で、ふと思った——もし魚灯が水の中を游いでいるのなら、自分もまた深い水の底に立っているのだろうか、と。 その考えに、呼吸が輕輕と止まった。 首を振って、その考えを振り払おうとした。けれどぼんやりとした中で、あの魚灯はますます自在に游いでいた。