テキスト

彼の打つ鼓の音は、いつも人の心を揺さぶる。万馬が雲を踏み駆けるような痛快さもあれば、大河に沈む月のように悠久な響きもある。だが彼はいつも、この鼓の音の果てに、まだ拍を打っていない震えが隠れていると言う。それは、公主が何かを語ろうと唇を開いたとき、風に揉み砕かれたため息なのだと。