テキスト

「墨門の弟子たちに、城中で一番好きな場所はどこか」と尋ねれば、答えは十人十色だろう。しかし、「一番行きたくない場所はどこか」と問えば、返ってくる答えは決まって一つだけになる。 東麓に足を踏み入れる弟子は、壊れた仕掛けの修理に呼ばれたか、あるいは門の規律を破って、罰として閉じ込められた者か、そのどちらかしかいないからだ。 どれほど精巧に組まれた仕掛けであっても、たった一つの部品が壊れれば動くことはできない。それと同じく、どれほど大きな功績を立てた弟子であろうと、門規を犯せば、きちんと部屋にこもって己の行いを省みねばならない。 明確な規則があってこそ、はじめて秩序は保たれる。