テキスト

見た目は逞しく屈強な大男だが、范祺茶には、美女に変装することに異様なほど情熱を注ぐ一面がある。彼は若い男たちを巧みに言葉と姿で惑わし、すっかり相手が好意を抱いたその瞬間、本来の男の姿で彼らの前に現れて、真剣そのもののまなざしで説教を始めるのを何よりの愉しみとしている。「江湖に生きる者たるもの、情愛に溺れてはならぬ。色即是刀、その頭上にはいつも一本の刃がぶら下がっていると思え」などと、もっともらしく言い聞かせるのである。