テキスト

この道はいずこに通ずるか、風に稲穂がみな立ち上がる時。 道は蜿蜒と北へ伸び、散らばる田畝を一つに繋ぐ。日の出とともに働き、日の入りとともに休む。農人たちはこの道に沿い、田と家を往復する。 盛夏ともなれば、穀物の香りが道に満ちる。幼子は落ち穂を拾い、田の虫が鳴き競う。夜中に涼風が南より吹き来たり、月下に稲穂が揺れると、通りすがりの街人までも、豊稔の甘き夢の中へと揺り入れてしまう。