テキスト
いったい何を食べると、あんなふうにサクサクと音がするのだろう?
サクという名の猫は、人間がおやつをかじる様子をじっと見つめ、その「サクサク」という響きに耳をそばだてている。羨ましくなって前足でちょっかいを出してみるが、「これは猫にはあげられないよ」と人間にやんわり制されてしまう。
ふん、人間なんてケチだ! くれないのなら、猫は自分で探せばいい。
そう息巻いて探し回ってみたものの、葉っぱは苦すぎるし、干物は硬すぎる。サクはずっと歩き回り、とうとう疲れて草の上にごろりと寝転んでしまうが、「あの音」のする食べ物はどうしても見つからない。
やがて暖かい風が吹き抜け、猫はうっとりと目を細める。サクも「まあ、眠ってしまうのも悪くないか」と思い始め、そっと瞼を閉じたその瞬間、顔の上に何かがふわりと乗ったような気がした。動くたびにムズムズしてたまらない。
サクサクは前足でそれをつかみ取り、口元へ運ぶ。ひとかじりした途端、猫の瞳がまん丸に見開かれる。サクッ!まさしく、あのサクサクさだ!あわてて一度は口から吐き出し、残った半分の小さなおやつをじっと見つめる。
その日からサクは、これこそ自分が食べるべきものだと心に決めた。