テキスト
紫檀の棋盤に残されたあの残局、六娘には見覚えがあった。破るのは難しくない。「砲で丹砂を碾く」ことだけで敵陣深くまで攻め入ることができる。連携を駆使し、一直線に本陣を突く…パチン!「将軍!」我に返ったとき、母が呆然としたまま、戸口に立ち尽くしていたことに気づいた。「お母さん!勝負が決まったよ!」勝負が決したのなら、母の心を縛っていたものも、もうすぐ解けるはずだ。そういえば、江南に象棋の達人と言われた柳公子が現れたという。十年前に忽然と現れ無敵を誇った彼が、十年後、いや、三年後ならどうだろうかと六娘はそう思っていた