テキスト

異香火燭・楓存 しばらくの間、彼女は暇さえあれば燭火を灯していた。揺らめく炎の中に、運命の儚さが見える気がした。 幸い青渓の処方を手に入れ、半年余りの調養を経て、鴉の容態はようやく好転した。 鉅子の座、譲らずとも済むかもしれない。 今では二羽の雀ちゃんにも恵まれた。一人は活発、一人は沈着——まるで彼女と彼のよう。 いつも楽観的な彼女も、暗い夜に揺れる燭火に向かい輕輕と祈願したことがある。 ——日々よ、どうか穏やかであってくれ。 たとえ一瞬の慰めにしかならずとも、その一瞬でいい。