テキスト
(青 成年期、日記は簡潔に、最後は文字が乱れている)
天算の間で計算に明け暮れた日々。先代巨子鷫(中渡橋以前の巨子。天衍を司る役目を担い、本来は鶴に託すはずだったが、鶴は亡くなった。その後、墜天の際に差分機が破損し停止寸前となったが、青が真気を繋いでくれたおかげで、以来ずっとここで動き続けている)の記録を調べた。
心臓を差分機に接続する技法と、その感覚について。
金烏の巣がようやく灼熱でなくなった。彼女にはまだわずかな気力が残っており、最後の測算を行っている。
三年間天を算じ、摘月の事は一人で成し遂げるものではないと悟った。師の最後の手紙に書かれていた通り――薪尽きて火伝わる。
最後の一瞬まで算じ続け、最後の「撈月」を試みるつもりだ。ただ、子への贈り物を届けられるかどうか、もうわからない。