テキスト

朱邪骨羅は遠い地からやってきた。 砂塵が舞う日が続き、夜になると風に乗って子供の笑い声や女たちの歌、揺らめく灯火の音が聞こえてきた故郷を、彼は懐かしく思う。 中原の人々と同じように彼を恐れ、憎む者もいたが、同時に守り愛してくれる者もいた。 だが果てしなく続く砂漠の彼方、故郷へ戻ることも、旧知の顔を見ることも叶わない。 薄暗く湿った地下の牢獄で、彼は行きつ戻りつしながら吠え続けた。帰る場所を見失った獣のように。 ある日、風の音に混じって羽ばたきの響きが聞こえた。か細くも澄んだ鳥の鳴き声が、鉄格子の外から届く。 神様が彼の不安と雄叫びを聞き届け、その儚い命を遣わしたのか。 そして、掌に乗せたその小さな命を、彼は昼も夜も大切に育てた。手に入る限りの美しいものは全て捧げた。 彼は小鳥の成長を待った。たった一つの願いを込めて―― 飛び立ってほしい。代わりにかの地を見てきてほしい。風が運ぶ笑い声と、揺らめく灯火の音を聞かせてほしい。