便箋の縁は擦り減り、わずかに山石の砕片が付着している。信の筆致は力なく、墨の跡は薄く淡い。筆を握る者の気力が尽きかけていたためだろう。信の上にはさらに一つの駒が置かれており、声なき誘いのように、静かに来る者を待っている。