テキスト
□□□□拝啓
□□殿は軍務多忙の折にも、なお折々に農事をお案じくださっている。不肖この身、必ずやお任せいただいたことを成し遂げる。
現在、ご報告すべきことが二つある。
一、□□殿の耕作策を推し進めたところ、東郷ではすでに成果が見え始めているが、西郷は土質が異なるため、なお調整を要する。
二、陸亀蒙様の新作『稲鼠を記す』が届いた。これまで通り写しを作り、各里正に回覧させて、田に害をなす大鼠の防除に用いるべきか。
この春、下官は□□殿のお言葉に従い、『耒耜経』の法を各郷に広く伝えた。古参の農夫らは半信半疑だったが、苗が他所より見事に育つのを目にしてからは腿を打って称え、「□□殿がお認めになったやり方に誤りがあろうはずがない」と言っておった。
また、先日田を巡っていた折、老農たちが、さきに将軍が自ら裸足で田に入り、農夫たちとともに田植えを手伝われたことを持ち出して、「あの時長く田におられたせいで日焼けなさったのだ」と噂していたが、下官がすでにその説を打ち消しておいた。「我らが将軍は、もとよりこのような肌の色をしておられるのだ」と。
帰義軍勅使 謹呈
(ところどころ墨の跡で塗りつぶされている)