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慧薬が小さい頃、世では出家して僧になるのは珍しいことではなかった。ただ飯が食えるからというだけの理由で、信仰とは無関係だった。 慧薬もろくに覚えもしない経文を唱えながら、慈心山院で暮らしていた。 やがて妙善という禅師が現れ、慧薬の師匠となった。 慧薬は初めてこの世に、本当に仏がいるかもしれないと思った。 経典に詳しく、仏光の神通力で苦しむ者を救うような人物は実在した。 慧薬は妙善から経文を学び、仏が身を虎に投じて衆生を救う話を聞いた。妙善が放つ仏光は彼の心に届いた。 慧薬は仏を、自分も衆生も愛されていると信じ始めた。慧薬は勤勉に修行し、香を焚き経を唱えていた。やがて慧薬は妙善の一番弟子となり、常に慧薬の側にいるようになった。 そして慧薬は、妙善の秘密を知ってしまった。 この世を欺く謀の中で、自分も衆生も駒に過ぎなかった。 信仰が崩れ去った慧薬は、妖しい紫の花を受け入れた。 慧薬は静かに笑った。 「善も悪も、私の全ては師匠から授かったもの...」 「師匠、やはり私たちは運命づけられていたのですね。」