テキスト
湯谷の息子は、本来なら村の人々と一緒に移り住むつもりだった。だが、父がひとりこの地を守り続けているのを見て、放っておけず、掘削工事の仕事を請け負い、父のもとに残ることにした。水路工事は昼夜を問わず続き、息子が朝から晩まで働く姿を見るたびに、湯谷は胸を痛めていた。それでも息子は「父さんの水飯が食べられるなら、何をしても疲れないよ」と笑って励まし、湯谷はその孝心に心を打たれた。せめていつでも水飯を食べられるようにと、湯谷はたびたび出来たての水飯を工事現場まで届けるようになった。冷たくて喉ごしのいい水飯は、腹も満たせると役人や職人たちにも評判となり、やがて湯谷は衛兵たちと話をつけて、水路のそばに屋台を構えるようになった