テキスト

野道の奥深く、ひっそりと崩れかけた古い寺が一つ。いつの時代に建ち、どの神を祀っていたのか、知る者はもういない。今では梁の上を野鼠が駆け回り、かろうじて微かな生気だけが残されている。 どれほど朽ちていようと、ときおり寺の中から焚き火の明かりがちらちらと漏れる。貧しい者がここで身を温め、逃亡者がここで息を潜めることもあるのだろう。ここを訪ねるのは、みな通りすがりの旅人ばかり。一碗の酒を温め、火を囲んで夜明けを待つ。