テキスト

<ニャ!ここにいるにゃ!> くろすけはよく姿を消す猫だった。真っ黒な毛並みのせいで、夜になると見えなくなるのも無理はない。 それでも村の人たちは、くろすけが大好きだった。暗い中でくろすけを探すのも、この村に残された数少ない楽しみのひとつであった。 ある夜、いくら探してもくろすけが見つからなかった。村の皆が「もう会えないだろう」と思った時、かまどの中から悲鳴が聞こえ、尻尾の燃えたくろすけが勢いよく飛び出した。どうやら暖を取るためにかまどの中で眠ってしまい、毛が焼け焦げる前に逃げたようだ。 「ニャ、ニャ!」誰にもその鳴き声の意味はわからない。けれど、あの楽しげな空気にくろすけもつられていたのだろう。