テキスト

都にはひとつの璜が遺されており、真に才ある者だけがそれを開くことができる。 墨城遺跡の外側には、蛇のようによじれた野道が延々と続いている。それは職人の手によって整えられた道ではなく、探求に魅せられた者たちの足跡が幾重にも刻まれてできあがった道だ。かつて墨家が移転した際、彼らは断崖絶壁に数多の仕掛けと秘術を残して去った。それから百年、巧匠や方士たちは藪をかき分け、棘を踏みしめてこの地に分け入り、足跡を重ねに重ね、ついには山を切り開いて一本の道を拓いたのである。