テキスト

これは元々見渡すの嫁入り道具で、二つに分けて互いの想いを託したもの。けれど彼女はいつも外を駆け回り、彼はいつも庄を固守し、二人はいつも離れ離れだった。この簪もまた、持ち主に撫でられるうちに次第に斑な色合いになっていった……あの日まで。二人は一緒に逝き、彼女もようやくこの簪を持ち歩く必要がなくなった。