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昔の言い伝えでは、東海に仙人の山があり、筏に乗ればその絶景を望めるという。毎年仲秋になると仙人の門が開き、物好きな者たちが筏で海に出て、その山を探したらしい。だが仙人の山は実在がはっきりせず、ただ筏で景色を楽しむ話だけは確かに残っている。
墨城から東へ数十里進むと、雲海に包まれた高い山があり、ときおり珠を皿に落とすような音が響き、人々はそれを仙人の涙だと語る。目を凝らして見上げると、雲の筏が空を裂いて雲の中へ突き進み、上では烈風を従えて星のように駆け、下では荒れる波を踏み越えて進んでいた。
同行者いわく、これこそ墨門の雲の筏遊覧だという。ただし乗るには令牌が必要で、内門で上位に名を連ねた者だけが授かる特別な恩恵らしい。順番を待てばいつか乗れるのかと問えば、海が桑畑に変わるほどの歳月を待つしかないと言われ、ただただ胸が痛んだ。