テキスト
林兄へ:
……此の匣を研究製作するにあたり、自ら研鑽を重ね、影と形のみを友とする日々なれど、幸いにも愛猫が傍らにおり、いささか寂寥を解してくれております……
……肉体の労苦など、余某は取るに足らぬものと見ております。されど故友が世を去ったと聞くたびに、この世の色彩がまた一層暗くなり、風流な音色は次第に遠ざかり、胸の憂いは消え難くなります。かつて共に新曲を作りし者、今いったい幾人残っていることか……
……この匣が完成した暁には、必ずや林兄、馬兄と再会し、三日にわたり論を交わし、合楽社の輝かしき日々を思い起こしたいものです……