テキスト中渡橋の戦が起こった時、烽煙の中を数日にわたり駆け巡り、数えきれぬ避難の民を生きる道へと導いた者がいた。戦が束の間止み、蔵月の岡に山雨来たらんとする中、一人の白頭の少年が孤独にこの地を守っていた。風の喧騒いかに激しくとも、心の声は隠しきれない。あの爽やかな「永別」の声は、かつて彼が天地を測る起点であったが、今や悔いても莫及ばぬものとなった。すでに天涯を隔てたるに、なお尺を執る必要があろうか。