テキスト
暗がりの水は、より遠くへ流れることができる。
時にその水は、帰路の夢を揺らす清波である。烽火が天を焦がす中、家族への手紙は万金に値し、流れ者の宿営地にはなお筆を執り飛書を認める者がいて、滾る心を一つ一つ手紙に封じ込め、水波に託して、首を長くして待つ人の手へと届ける。
時にその水は、百戦錬磨の中の墨の跡である。祁家荘にて、義士が単身敵陣に潜入し、牢獄に囚われながらも、幾度も転々として、あの重要な敵情を、江湖の同志の手へと届けた。
さらにもう一つの水がある。それらは秘密で、信札で、約束で、山河の間の脈絡を繋ぐ。それらは無形に隠れながらも、密かに緩急を操り、驚濤を巻き起こし、千万の人が喜んで駆けつける一つの秘密を、遠方の人々の手へと届ける。
それらは燕北の星火を辿り、此処に集う。そしてこそ、江湖万頃が生まれ、火海に抗うのだ。