テキスト
空は雲の波に連なり、峰は碧き水に映える。
この地は百年前、虚池河下流の谷で、水害に幾度も苦しめられていた。だが歴代の巨子がここで農と水利を興し、ついに今日の十里に広がる仙峰と碧水が生まれた。
周顕徳の頃、先代巨子の鴉がここで耕し弟子を育て、多くの門人を輩出した。中でも燕・鷺・隼の三人は特に寵愛を受け、「墨門三傑」として名を上げる。しかし世の変転は免れ難い。城中の変事の後、燕は巨子の責を担い、鷺は山水に留まり、隼は九幽に没した。三傑はそれぞれ別の道を歩むこととなる。
今はただ碧き水のみが残り、昨日の旧友の姿はない。逝く者は斯くのごときか。