テキスト

高山に積もった雪解け水が勢いに従い流れ落ち、その流れに合わせて地下水路を掘りめぐらせ、坎児井が築かれる。澄んだ泉は飲み水となり、村が生まれ始めた。だが砂嵐が押し寄せれば井戸は枯れ、村は危機にさらされる。あるとき一人の将が図を携え、必ず井戸を成し遂げるとの約を結んだ。代々の掘り手たちは油灯をともして鍬やつるはしを振るい、苦労をいとわず年月も問わず、ただ生きた水を掘り当て、後の世に恵みをもたらすことのみを願い続けた。 されど天は人の願いに容易には応じず、幸と不幸は朝な夕なに潜む。突如として風砂が荒れ狂い、村は滅び、人声も絶えた。黄昏があたりを包むころ、ふいにひとすじの星の火が灯る。去りし者が帰り来て、祖業を継ぐことを誓ったのだ。代々の力を束ねて天地の理をも変えんとし、子孫の志を集めて砂中に緑の洲を築いた。歳月は春秋を重ね、薪の火は絶えることなく燃え続けている。