テキスト

鬼市には「商人は四更までに撤収し、卯の刻まで残ってはならない」という掟がある。しかし、ある鬼街の酒商人が酔いに溺れ、卯の刻まで街頭に横たわっていた。夢うつつの中、突然、天を衝く銅鑼の音が鳴り響き、霧が立ち込める。その中には無数の亡霊が彷徨い、酒商人は恐怖に震えながら逃げ出した。混乱の中で黄泉の水に落ち、必死に足掻くうちに、岸辺の金灯花の鱗茎を掴む。すると、全身に寒気が走り、五感が戻り、目の前の幻影がすべて消え去った。霧が晴れた時、彼はある真理に気付く。花の蕊で酒を醸せば幻覚を生じ、鱗茎で醸せば心を冷やし、過去を忘れさせるのだ。こうして、第二の酒「忘川渡」が誕生した。