テキスト

みどりは、氷ブドウをまだ味わってないことを覚えてる。でも名前が必要になったとき、ふとあの清らかな甘い香りが鼻をついた...みどりに決めた! みどりはよく安一飛の膝の上で、酔ばあさんが話すのを聞いてる。「誰が旅立った」「誰が亡くなった」「誰の子が背が伸びた」...半分寝ぼけながら、昔「誰かの分まで見る」と決めたような気がする。今、彼らは大切だった人とちゃんと別れられたのだろうか? みどりには思い出せない。みどりにはわかんない。みどりは酔ばあさんの笑いじわを見つめ、しっぽの先をそっとパタリと叩いて、また温かい夢の中に沈んでいく。