テキスト

この草は駱駝の行き交う土地に多く生える。しかし、駱駝が風鈴草の種を運んだのか、それとも風鈴草の音が駱駝を呼び寄せたのか、誰にもはっきりとはわからない。 かつて、風鈴草の実を摘み、胸に下げて歩いた者がいた。一歩ごとに音が鳴り、一歩ごとに思いが巡る。その鈴の音は、憩っていた駱駝を目覚めさせるとともに、彼の記憶に残る昔日の穏やかな時を呼び起こした。