テキスト

ぬくは、人を喜ばせるのが得意な猫。 人を見かけると、すぐゴロンと転がって「にゃーにゃー」鳴きながらスリスリ。噛みつくこともなければ、急に怒ることもない。通りがかりの誰が、こんな可愛い猫を撫でずにいられる? この一撫でが、多くの旅人の過酷な道中の唯一の癒しだった。 頭を撫でてる瞬間だけは、憎しみも痛みも目的も、全部忘れられる気がした。 ふわふわで、もちもちで...その瞬間、世界には猫しかいないように思える。 ぬくは本当にいい猫! ...旅人が油断したスキに、干し肉や小銭をくわえて逃げなければ、なおよかったのに。