テキスト

きみは、ちょっと不思議な猫だ。ほかの子猫たちがまだ「ニャーニャー」とだけ鳴いているころから、 きみはすでに「シューシュー」「モーモー」「アオウアオウ」と、さまざまな鳴き方を繰り出していた。 通りすがりの人たちは、思わず足を止めてしまう。 中には、どこか不気味に思って歩みをそろりとゆるめ、「いったい何の声だ?」と耳を澄ませる者もいる。 きみは、人々が自分の声のせいで慎重になっている様子を見るのがたまらなく好きだ。 もちろん、きみがいちばん気に入っているのは、その後ほっとした顔でしゃがみ込み、 「ああ、猫ちゃんだったのか〜」と言いながら、やさしく撫でてくれる、その瞬間なのである。