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舞馬師に名前はない。あったとしても、もう忘れてしまった。踊りが好きな老馬を常に連れているため、人々から「舞馬師」と呼ばれるようになった。 ごく普通の男だった。かつて織金閣に拾われたが、武術の才能がなく、繭房に送られ夢傀儡の実験体となった。特別な体質もなく、すぐに試薬に失敗して共同墓地に投げ捨てられた。しかし死にかけた時、一頭の軍馬に救われた。 舞馬師の生き方は常に現実味を欠いていた。道徳も善悪も、生きる意志も死ぬ覚悟もない。彼の人生における唯一の現実はあの軍馬かもしれない。なぜ軍馬が自分を救ったのか、ずっと知りたかった。