テキスト
表
書名:『非命論』
杜十九が借りる。返却期は八月一日。
評「人が生まれてこのかた、命の声を聞いた者も、その姿を見た者もいない。我が道は孤ならず」
八月一日、曜麗女が借りる。返却期は八月十五。
評「身を保つことすら難しい世に、どうして立身を語れよう。今のこの世こそ、命ではないのか」
八月十五日、杜十九が再び借りる。返却期は八月二十一日。
評「我が行いこそ道、我が安らぎこそ命。人は天に勝つ。君と共に励まん」
......
裏
(奔放な筆致)霜の刃は我が声を奪い、長き冬に万籟は沈む。
(端正な筆致)野火は焼き尽くせず、春風に吹かれてまた生ず。