テキスト
物心ついた頃から、クロくんはいつもシロくんと一緒だった。シロくんが美味しいものを見つければ、クロくんにも分けてくれる。シロくんがどこへ行こうと、クロくんは必ずついていく。
だからシロくんが欒城から逃げ出すと決めた時、クロくんは何も考えず一緒に走り出した。逃げる途中、かつて城内で見かけた人々とばったり出くわした。クロくんには分からなかった――逃げ出したはずの人々が、なぜ戻ろうとするのか。だが、彼らがシロくんの体に信を括りつけるのを見て、少し理解できた。
シロくんが届け物を手伝うと決めたなら、クロくんも黙ってはいられない。全身真っ黒で足も速く、しかもシロくんが囮になってくれる。活躍の場は十分にある。
こうして夜になると、欒城の外には黒と白、二つの俊敏な影が走るようになった。