テキスト

ちび耳はいま、六度目の家出の真っ最中。 飼い主に引き取られてからも、昔のあの自由な日々がどうしても忘れられない。野犬として、思うさま自由に生きたいのだ。 毎日決まった時間にご飯を食べ、門番をして、ただ飼い主のそばにいるだけ。そんな暮らしは、彼の望む「人生」じゃない。もっと遥か遠くまで行ってみたい。蝶を追い、雀を捕まえ、野の果実を味わい、風が運んでくるさまざまな匂いをこの鼻いっぱいに吸い込みたい。 なのに、この草むらはいったいどんな罠なんだ!? なぜここへ来ると、決まってお腹がグウグウ鳴りだす?出発する前には、毎回ちゃんと大きな肉を食べてきたはずなのに。 ちび耳はそんなことをぶつぶつ考えながら、結局またしょんぼりと家への道を引き返していった。