テキスト
その赤子が産声を上げた時、まさに秦王が命を落とした瞬間だった
君主の死を悟った李均は赤子を抱えて北境へと遁走した
永い流浪の日々、彼が「凧」と名付けた子は、愛らしい笑顔で、彼の唯一の慰めとなった
だがあの子が成長するにつれ、定住地のない生活が重荷となった
自らのため、あのこのために、正しい選択を下さねばならぬ
慕容家は名門武家で、仁厚の家柄
あの子の新たな居場所として相応しかろう
李均は銀槍に体重を預け、半身を雪に埋もれさせた
遠くであの子の啜り泣きが聞こえる
彼は覚悟を決めて背を向けた。あの夜と同じように
果てしなき道程を思いながら、せめてこの吹雪の重責は全て我が身に降りかかればと願った