テキスト
初めて江湖に出たころ、本来は孤雲に加入するつもりでいたのだが、運悪く九流門の口車に乗せられ、騙されるようにして入門してしまった。ようやくの思いで退門料をかき集めたが、支払いに向かう途中で同門に出くわし、五万両の通宝をそっくりまるごと騙し取られてしまったのである。そこで仕方なく、改めて「退門」に挑むことになった。今回はさんざん値切りと交渉を重ね、どうにかこうにか流派から抜け出すことには成功したはずだったが、朝には晴れて退門したはずのその流派が、夜になるとちゃっかり自分の頭上に戻ってきていた。そうして幾度となく退門に失敗を重ねるうち、「これはもはや天命に違いない」と深く信じ込むようになり、ついには「被害者」でありながら、自分がすでに九流門の正式な弟子となってしまった事実を、観念して受け入れるようになった。