テキスト
しかし葉不休が仇を討ってくれたことには変わりない。王大演は恩を受ければ返す好漢だ。礼を言った後は次第に打ち解け、二人の関係は同窓生や棋敵を超え――友人となった。
彼は知っていた。この厄介な友人が皇帝の「棋待詔」に任じられたことを。そして、とても気に入られていることを――皇帝は対局中に自らの戦歴を語り、葉不休はその戦いを象棋で再現する棋譜を編み出した。皇帝は大いに喜んだ。その「棋で戦を演ずる術」を、彼も見て学ぼうとしたが覚えられなかった。彼は操り人形のように棋譜に従うだけで、なぜこの兵の駒の動きが「上源の宿場で太祖を救った戦い」を表し、あの馬の駒の動きが「任城で梁軍を破った戦い」を意味するのか理解できなかった。
「同じ皇帝の戦いなのに、どうして兵になったり馬になったりするんだ?」
「情勢が違うからさ」と葉不休は蜜柑を口に放り込み、涼やかに答えた。
情勢? 情勢とは何か? どう見極めるのか? 分からない。本当に分からない。王大演は内頬を噛み、心に湧き上がる酸っぱい感情を抑えた。才能というものは理屈じゃないと認めざるを得なかった。彼と葉不休の差は、歩兵と戦車の戦力差よりも大きいかもしれない。それでも象棋を諦める気はない。腕を磨く時間ならたっぷりある。いつか必ず葉不休に勝って、存分に仕返ししてやる!