テキスト
俳文遠は、老兵たちが語る長安の話を聞くのが好きだった。
長安には風月を乗せて流れる小川があり、そのささやかな水音が楼閣や亭の間を抜けていくと聞かされていた。
また、老兵たちは、曲江池に咲く芙蓉の花が鮮やかであることを認めつつも、国の誇りとされる牡丹には到底及ばないと言っていた。
俳文遠はうつむいた。彼は牡丹を見たことがなく、長安にも行ったことがなかった。
「いつか......自分も長安をこの目で見てみたい。」少年の瞳に、ふっと光が灯った。
しかし、戦火と血にまみれたその時、その光はか細く揺れ、今にも消え入りそうだった。
血は花のようにほとばしり、そこにいるすべての戦士の身に咲き乱れる。敵も味方も、区別なく。
「牡丹の色も......こんなふうに鮮やかなのか。」
「牡丹の香りも......こんなふうに濃く立ち上るのか。」
「牡丹のぬくもりも......こんなに灼けつくほど熱いのか。」
首筋から血が噴き上がり、俳文遠は自分の体温が急速に失われていくのを感じた。
彼の血もまた、一輪の牡丹のように咲き広がった。
彼が最後に目にしたのは、視界いっぱいに飛び散る赤だった。それはまるで、長安の春に群れ咲く花々が、風に揺れながらたおやかに揺れているかのようだった。