テキスト
侠客青の手鑑:
侠客が兄にメッセージを伝えて以来、不消は精神が晴れやかになり、次第に四方を雲遊する志を抱くようになった。今回は元々渡し船に乗って北へ向かうつもりだったが、途中で道に迷い、幾度もの紆余曲折を経て、霧が晴れた時に奇なる山に巡り合った——この地の人々はそこを「不見山」と呼ぶ。
この山は絶壁千仞、削り取ったかのごとく聳え立ち、その間に桟道が空中に架けられ、一歩進むごとに足元に気を配らねばならぬ……「天谷」と呼ばれる地を通りかかった時、不消は石刻芸人の摩崖と偶然出会った。その技は極めて精緻であったが、彫られた内容はどうにも頭を捻るものばかり。例えば「こんなに近い、あんなに美しい、週末は河北へ」「嫁探し」、あるいは「無名を強化」「ドロップ率を優化」の類……一体誰の依頼を受けたのか、堂々と崖壁に刻まれていた。
この巍然たる石屏を目にし、不消はふと侠客がいつも口にしていた寒店長や江大侠客らのことを思い出した——もし思慕の念を崖に刻めば、縁ある者の目に留まるやもしれぬ。しかし思い直せば、不見山の外には人もまれに訪れるのみ、伝音も信も届きにくかろう。思うに、あの文字を刻んだ者たちも、本来は広く知らせるつもりなどなく、ただこの雲崖の鉄石を借りて、行き場なき一筋の思いを託したに過ぎぬのだろう。
山中は険しいながらも、一つの奇景が隠されている。蒲公英の花が雪の海のごとく咲き誇り、綿毛が雲の潮のごとく舞い踊る。なかなかに良き遊覧の地である。侠客がもしお暇があれば、ぜひここで一度集おうではないか。
烈不消 返信を待つ
不見山天谷にて