テキスト
牛犇は父の選択に困惑していたが、頑固な老人に逆らえるわけがない。角門里に戻った牛荒は、住民たちが時に食事にも事欠いている現状を知り、街頭で麦飯の屋台を始めた。驚くほどの安値で提供し、子供が買いに来れば胡麻油・椎茸・肉入りの汁を添える。赤字覚悟の商いだが、牛荒は貧しい隣人を助けたい一心で続けた。やがて角門里が無憂会の拠点となると、各地から侠客が流入し、屋台を利用し始めた。牛荒は状況を見て、少し高めの鶏炒め麺を追加した。息子の牛犇は全てを黙って見守り、密かに用心棒代を払って父が虐げられぬよう配慮した。