テキスト
涼州という土地で、安瑠璃という名を聞いても、知っている者はそう多くはないだろう。だが、雑芸団の仙人の縄と言えば、誰もが通じ合ったように思わず「おお!」と声を上げるのだ。
仙人の縄は雑芸団の柱役の一人で、普段は主に高所綱渡りを演出している。綱渡り自体は特別珍しい芸ではないが、顔立ちが整い、口も利き上手で、身のこなしも鮮やか、さらに「何やら人ならざる術を身につけているらしい」という噂も手伝い、涼州の女性たちに大いに人気があるのも当然だ。だが、この仙人の縄を風流な蕩児だと言うのは、さすがに気の毒である。仙人の縄はまだ年若く、恋心を知らず、美人との約束よりもコオロギ将軍を捕まえるほうが重要という、子供っぽい性格だ。女性が言い寄ったことはないわけではないが、どれも笑うに笑えぬ結果に終わったにすぎない。
だから、その仙人の縄がまたこっそり曹氏屋敷へ抜け出そうとしたとき、诸葛笑が彼女を止めた。
「お前、どういうつもりだ?」
仙人の縄は落ち着きなく視線をさまよわせた:「別に、どうもこうもないよ。遊びに行くだけ。」
诸葛笑は仙人の縄が背負った手品道具をちらりと見て、ぎゅっと眉をひそめた:「その道具は何のためだ?」
「持って行くってことは決まってるだろ。曲芸を見せるんだよ。」
「ほうー?」诸葛笑は含みのあるうなずきを見せた:「空中で月を手に取る芸をやるつもりか......どういう意味だ?」
「私が、どんな意味を持ってるっていうんだよ......」
「ふん、そのほうがいい。でなければ、わしのほうが黙っておれんぞ。」
「じじこそ!ちっとも面白くないんだから!」
仙人の縄は、瞬く間に駆け去った。
诸葛笑は、跳ねるような足取りで遠ざかっていく安瑠璃の背を見送った。彼女の腰には、丈夫な赤い絹の帯が結ばれている。それは、彼女が得意芸を演じるときの相棒であり、古くからの友である仙人の縄だ。
彼らのような者の命は、あまりにも軽く、天は彼らに目を向けようともしない。ひっそりと生まれ、ひっそりと死ぬ。一度の落下、一陣の寒風、一度、自分の胸に抱いた人を追って駆け出しただけで、命を落とすこともある。
あの琉璃は良い子だ。いま彼女は、心もとない空中の縄の上に踏み出しており、万丈の高さで嬉々として宙返りをし、危うい足元に気づかずにいる。もし本当に仙人や天というものがいるのなら、あの子が落ちかけたその時、空の彼方までまっすぐ伸びた仙人の縄を垂らして、どうか救ってやってほしいものだ。