テキスト

時の流れは早いもので、瞬く間にあの頃は遠い昔になった。范撒も、自分が切れ端で饅頭を作っていたことが人の目に留まるとは思ってもみなかった。 官家は食糧の無駄を見過ごせない方で、尚食局は范撒と彼女の切れ端饅頭のことを思い出した。羊の骨に残った羊肉と年季の入った小麦粉が時を得て巡り合い、たとえ切れ端であっても、彼女は丁寧に切り分け、じっくりと調味する。まるで自分の人生の大切なひとときひとときに向き合うように。 范撒は尚食局の片隅に屋台を構えた。足を止める人がいて、行きつ戻りつ、あちこちの片隅から来た足跡が皇宮中に広がっていった。 彼女は口下手で、饅頭を買ってくれた一人一人に、実は籠いっぱいの質問を抱えていたが聞けずにいた。たとえば、お口に合いましたか?違う種類も試してみますか?宮人の多くは足早に行き交い、彼女が言えるのはただ一言、「どんなに忙しくても、ちゃんとご飯を食べてくださいね」。 何度も繰り返すうちに、范撒はこの言葉の中に自分自身を見つけた。はっと気づいたのだ、これこそが良い暮らしなのだと。何か大きなことを成し遂げる必要はない、ただちゃんとご飯を食べればいい、それだけでいいのだと。