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記盛は燕夫人となった。約束を果たすため、かつて自分を破った緑袍の若き将軍・燕照に嫁いだのである。まもなく北伐が失敗し、伏馬荘は戦争による損失を回収できず、さらに没落していった。記盛は軍を辞めた夫とともに豊作村に移り住んだが、さほど苦労することもなく、結婚後も趣味の象棋は続けた。棋譜の研究を重ね、ついに燕照に敗れた時の棋局を解き明かした瞬間は、溜飲が下がる思いだった。口には出さないが、内心ずっと悔しかったのだ! この鍛錬で棋力が上がったためか、夫との対局は毎回接戦となるがっ最後には必ず彼女が勝つようになった。燕照は負けても気にせず、にこやかに「研究して再戦だ」と言う。そんな和やかな夫婦の関係も、夫がわざと負けていたこと気づいた途端に崩れ去った。「これは象棋への侮辱! 私への侮辱よ!」――そういったそばから記盛は即座に荷物をまとめて実家の伏馬荘に戻ってしまった。「今回は本気で謝罪する気持ちを見せない限り、絶対に戻らない!」と宣言して。