テキスト
郭兄拝啓
拙者はこのたび、玉門関のあたりに不思議な場所があると聞き及んだ。過去百年以上の間、河西の武芸者たちが千人近くそこへ向かうも、戻ってきた者は一人もいないという。
その「不思議」については諸説あり、ある噂では「その地の一日は、この世の数十年にも相当する」とも囁かれている。
ある者は「財宝が満ちている」と言い、またある者は「世に類を見ない神功が眠っている」と言い、さらにまた別の者は「美しい女性が数多くいる」とも言う。
要するに、天下第一の楽土というわけだ。さもなくば、武林の中には腕自慢が多くいて、千人以上も向かったのに、一人も戻らぬのはおかしい。
おそらく世俗を離れた桃源郷で、一度足を踏み入れれば、二度と戻ることはないだろう。
拙者はこれよりその真偽を確かめに参るつもりだ。もし兄も心惹かれるのであれば、地図に記した場所で合流しよう。
拙者 白英 敬具