テキスト
悟を得て、一株の菩提樹を植えた。それが苦海に根ざした最初の菩提樹であり、今では枝葉が堂々と茂っている。
前朝・顕徳の頃、妙善は弟子を率いて苦海の奥深くに罪業塔を築き、罪人百余名をその中に囚えた。塔の外では僧が太鼓や鐘を打ち鳴らし、罪人の業報を清めていた。夜が明ければ鐘が鳴り、日が暮れれば太鼓が止む。果てのない苦海も、回心すれば岸に至るという教えのもと、絶えることなく続けられた。やがて妙善禅師はが姿を消すと罪人らは塔から逃げ出し、苦海は惨状と化した。罪業塔も今や崩れた残骸だけが残されている。
近年、苦海より呻き声のような音が聞こえるというが、事実かは定かでない。