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蜀の国、成都府。蜀錦の名家・王家の当主は団花文様を愛し、息子を王団花と名付けた。少年の頃から、この子には非凡な才能があった。どんなに傷んだ織物でも、彼の手にかかれば奇妙な方法で見事に修復されるのだ。
家業はますます繁栄したが、退屈した少年はそんな生活に嫌気が差した。何より「王団花」という名が気に入らなかった。誰もこの恥ずかしい名前を知らない場所へ行きたい――そう決心し、彼は家出を決行した。
自然を愛する少年はすぐに山道で迷子になり、一人の隠居僧の庵にたどり着いた。見た目は質素な老僧だったが、実は書画の達人であることが分かると、王団花はしつこく弟子入りを懇願した。以来、折を見ては家を抜け出しては老僧のもとへ通い詰めた。天性の才能を持つ王団花は、わずか三、五年で老僧の技の大半を習得し、ついには気配を消す術までも身につけてた。やがて「書画の鬼才」としての評判が蜀中に広まっていった。