テキスト

雪丑は開封の金銭仲介所で王十三と出会った。少女の目に宿る狼のような獰猛さが気にかかった。店主は「道端で拾った子だが、天晴な商才を持っている」と言う。雪丑は数度取引を重ね、最後の訪問時に自分と一緒に来ないかと切り出した。王十三は振り向いて小さな仲介所を見つめた。ここが仮の居場所に過ぎず、本当に求めるものはここでは得られぬことは承知していた。雪丑の背後にあるのは不確かな未来と希望。だから彼女は拒まなかった。 そして雪丑とともに九流門に身を置いた王十三は、雪丑にその聡明さを買われ側近となった。二人は人の心を信じず、利益を信じる。雪丑には王十三の才覚が、王十三には九流門の情報網が必要だった。九流門も仮初の縁とはいえ、利害が交錯する同盟関係は鉄壁である。組織の基盤が固まると、雪丑は鬼市で運命の館を興し、王十三はそこで「十一質屋」を開店した。独自の規約が江湖に激震を走らせる中、彼女は権謀術数の渦中で、象棋の駒を操るように人心を操った。やがて運命の館で殺人事件が発生し店は閉店。質屋も影響を受け、王十三は霊街を徘徊する日々を送る。手持ち無沙汰な彼女は霊街の路地に棋盤を据えた。鋭い観察眼で、盤面に相手の本性を映し出す。往来する者が人間か幽霊か、一局の棋譜で判別する。