テキスト
夜も更けたころ、王宙は眠れずにいたが、ふと岸の方から、人が急ぎ足で歩いてくる気配を聞きつけた。やがて船辺に至る。
誰何すると、なんと倩娘がはだしのまま歩いて来たのだった。宙がその手を取って来由を問うと、彼女は涙ながらに言った。「あなたの情の深さは変わることがない。わたしは命を投げ出してでもその御恩に報いとうて、命知らずの道行きをして参りました」
...のちにふたりして衡州へと帰ったところ、奥の間にいる女が、吉報を聞いて起き上がり、出迎えようとしたそのとき、ふいにふたりは一つの身に融け合うように重なり、その衣もふたえに重なっていた。
俳杏林の批注:まさか隣家のお嬢さん、あの段嬢も...同じくこの「魂離れの病」に罹っておるのではあるまいか?